ドロップダウンリストを作成して楽々入力!

エクセルで入力して欲しいセルに対して、予め想定している値がある場合にはドロップダウンリストを作成して入力値を制限するのが有効です。

自由入力ではなく、選択肢にして値を制限することで、入力時間を短縮できるだけでなく、集計作業の無駄を無くす事もできます。

例えば、住所の都道府県の入力をさせたい時。

セルに対して自由入力にすると「東京」と入力する人もいれば「東京都」と入力する人もいるでしょう。自分でエクセルを作成するときでも意識していないと記載がマチマチになってしまうこともあるかと思います。

「東京」と「東京都」が混在している状態だと、後で都道府県別のデータを集計しようとしたときに「東京」と「東京都」が別々にカウントされてしまって正しく集計できず、「東京都」に統一するという作業が発生してしまいます。

上記は一例ですが、結構起こりうる場面です。私はコンサルタントとしてお客様と業務改革を行わせていただく機会があるのですが、実際のエクセルを見せていただくと表記統一ができていないエクセルが多々あります。

今回ご紹介するドロップダウンリストを駆使して入力しやすく管理しやすいエクセルを効率よく作成していきましょう!

そもそもドロップダウンリストとは

そもそもドロップダウンリストをご存知ですか?ドロップダウンリストとは選択すると選択肢がズラーっと出てきて、その中からクリックして選択できるものです。プルダウンメニューとも呼ばれます。こんな感じのやつです。ホームページ等で見たことあると思います。

これと同じことをエクセルでもできるんです。

ドロップダウンリストの作成

前置きが長くなりましたが、早速ドロップダウンリストを作成してみましょう。ドロップダウンリストを作成するためには[入力規則]という機能を使います。この機能でドロップダウンリストの内容を定義します。

入力規則に選択肢を設定

下のような表があるとします。「血液型」の欄にドロップダウンリストを設定してみましょう。

ドロップダウンリストを設定する準備

まずはドロップダウンリストを作成する範囲を選択します。ここでは「血液型」の欄ですね。下のように選択し、[データ]タブの[データの入力規則]から[データの入力規則]を選択。

データの入力規則を表示させる

すると[データの入力規則]というダイアログが出てきます。

データの入力規則を表示

ここで[設定]タブの[入力値の種類]で[リスト]を選択し、[ドロップダウンリストから選択する]にチェックを入れます(最初からチェックがONになっている場合はそのままでOK)

[元の値]の欄に選択肢として提供する値を設定します。ここでは血液型を選択させたいので、「A型」「B型」「O型」「AB型」を設定します。
設定するときはカンマ区切りで値を入力すればOK。

ドロップダウンリストを固定値で設定する

設定できたらOKボタンを押します。そうすると、血液型欄のセルにカーソルを合わせると右側にドロップダウンリストを表す三角形が表示されているのがわかります。

ドロップダウンリストを作成

この状態になったら三角形をクリックすると設定した選択肢が出てくるようになります。

血液型のドロップダウンリストを作ってみた

当然、選択肢をクリックすることでセルへの反映も可能となります。

ドロップダウンリストから値を設定できることを確認

選択肢を管理しやすくする

上述のように、[データの入力規則]で選択肢を直接指定する方法もありますが、実務で使っているエクセルを見たことはありません。その理由は選択肢の内容を管理しにくいからだと推測しています。ドロップダウンリストの内容を知るために、わざわざ入力規則を確認しなければならないのが手間です。
管理しやすくするためにはどうすればよいか。答えは「シートに定義する」です。ドロップダウンリストを表示するシートと同じシートでも別シートでもよいですが、ドロップダウンリストを管理するための領域を用意しておくのが良いという観点から行くと別シートにドロップダウンリストの内容を定義して、そのシートを非表示にしておくのが良いでしょう。

では、別シートにドロップダウンリストの内容を定義してみましょう。
まずは、新たに「配偶者」列を作成しました。この列に「あり」「なし」を選択できるドロップダウンリストを作成していきます。

ドロップダウンリスト作成準備

別シートに下のように設定します。単純に「配偶者」というヘッダーとそのドロップダウンリストに表示するデータを設定しただけです。

ドロップダウンリストの項目準備

次に、このデータに対して名前を付けます。「名前を付ける」という機能を知らない方が多いですが、結構便利な機能です。普通なら「=Sheet2!$B$3:$B$4」のように参照設定しなければいけないのですが、セルやデータに対して名前を付けることで簡略化できます。例えば、「Sheet2のB3セルからB4セル」に対して「配偶者」という名前を設定すると、「=配偶者」と指定すれば「=Sheet2!$B$3:$B$4」と同義になります。複雑な計算式を入れるときに重宝します。

上記で設定した配偶者欄に設定する「あり」と「なし」に対して名前を付けましょう。名前を付けたい範囲を選択して左上の入力欄に「配偶者」と入力してみます。

セル範囲に名前の定義

これで準備完了です。

あとは先ほどと同じように、ドロップダウンリスト入力させたい範囲を選択して [データ]タブ → [データの入力規則] → [設定]を開いて、[入力値の種類]に[リスト]を設定した後、[元の値]の欄に「=配偶者」と設定するだけ。

ドロップダウンリストを設定する範囲を選択
データの入力規則で[元の値]に定義した名前を設定

これで別シートに定義したドロップダウンリストを作成できました。

ドロップダウンリストが設定されたことを確認

既存ドロップダウンリストの編集

ここまででドロップダウンリストを簡単に作成できることをご理解いただけたかと思います。作成だけでなく項目の追加、削除についてもご紹介しておきます。

既存のドロップダウンリストに項目追加

既に作成してあるドロップダウンリストに項目を追加したい場合は、項目を定義している個所にデータを追加するだけでOKです。

入力規則に固定で定義している場合

下のように入力規則に固定でドロップダウンリストの内容を定義している場合は、ここに値を追加すればOKです。

ドロップダウンリスト項目追加前
ドロップダウンリスト項目追加

ドロップダウンリスト項目追加後の確認

別シートなどに定義している場合

入力規則に直接値を設定するのではなく、別シートなどにドロップダウンリストの項目を定義している場合は、定義されている個所に値を追加すればよいです。
ただし、値を追加するだけではダメで、ドロップダウンリストが参照する範囲も修正しないといけません。

前述した「名前の定義」でセル範囲に対して名前を付けている場合に範囲指定を修正するには、[数式]タブ → [名前の管理] → [編集] で修正します。

[名前の管理]から名前の編集

[名前の編集]というダイアログが出てくるので、ここで[参照範囲]を修正してOKボタンを押下。

参照範囲の修正

すると、ドロップダウンリストの項目が増えていることが確認できるはずです。

ドロップダウンリストの項目が増えたことを確認

既存のドロップダウンリストの項目削除

逆に、ドロップダウンリストの内容を一部削除したい場合も簡単な操作で実現できます。

入力規則に固定で定義している場合

これまでと同じように、 ドロップダウンを設定したセル範囲を選択した状態で、 [データ]タブ → [データの入力規則] → [設定] を開いて、 [元の値]から削除したい項目を削除したあと、OKボタンをクリックするだけ。

ドロップダウンリストの項目削除前
ドロップダウンリストの項目削除

別シートなどに定義している場合

こちらも簡単です。定義した箇所から該当の項目を削除するだけです。ただし注意しなければいけないのは、ただ削除するだけではドロップダウンリストに空白の選択肢が出てしまうので、空白がないように調整しましょう。

ドロップダウンリストの項目削除前(セル参照の場合)
ドロップダウンリストの項目削除(セル参照の場合)
ドロップダウンリストの項目削除後の調整(セル参照の場合)
ドロップダウンリストの項目削除時に空白をなくすように詰める

これだけでドロップダウンリストの内容が更新されます。

ドロップダウンリストの項目削除後(セル参照の場合)

ドロップダウンリスト自体を削除

ドロップダウンリスト自体の削除をするには、ドロップダウンを設定したセル範囲を選択した状態で、 [データ]タブ → [データの入力規則] → [設定]を開いて、[すべてクリア]ボタンをクリック → [OK]ボタンをクリックするだけです。

ドロップダウンリストの削除

ドロップダウンリストが削除されました。

ドロップダウンリストのメリット

ドロップダウンリストを作成することによる最大のメリットは入力時の時短です。選択肢を提示することで入力する時間の削減だけでなく、表記揺れが無くなることによる集計作業の簡略化が期待できます。当然ながら、入力ミスも起こりません。(選択ミスはあるでしょうけど…)

今回はご紹介していませんが、入力チェックと合わせることで統一性を保ったエクセルが作成できます。いろんな人が更新するエクセルほど明確なルールを提示しないとごちゃごちゃなエクセルになってしまいます。

これを防ぐためにも、ドロップダウンリストと入力チェックを合わせて提供するのが良いですね。

ドロップダウンリストのデメリット

一方でデメリットもあります。ドロップダウンリストへの直接入力(セルへの直接入力)を許可している場合で入力チェックを設定している場合、設定した本人以外は何を入れればいいのか分からずストレスフルなものになってしまうということです。

入力チェックについては別記事でまとめますが、簡単に言うと、「このセルにはアルファベットしかいれちゃダメですよ」みたいなルールを設定することで、想定外の入力を防ぐものです。便利である一方、他の人が使うときに「なんだよこのエクセル!入力できないじゃん!」ってなりがちです。入力チェックを使うのであればルールがわかるように説明を入れておくのがマナーですね。

まとめ

今回はドロップダウンリストの作成方法についてまとめました。初めて使う方は覚えることが多く感じるかもしれませんが、慣れればものすごく簡単な作業です。是非使ってみてください!

ドロップダウンリストを作成するには、

[データ] → [データの入力規則] → [データの入力規則] → [設定] → [入力値の種類] → [リスト]を選択 →[元の値]の欄に固定値をカンマ区切りで設定するか、セル参照を設定する

以上です。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!